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Q&A

合成止血材

  •  Q.主成分のポリアクリル酸(PAA)とポリビニルピロリドン(PVP)は、化学結合しているのですか?

A.いいえ、化学的な結合はしておりません。これらの分子は水中で、水素結合という物理的な引力で引き合って、ゲルを形成しています。砂糖分子が水に溶けているのと同じ状態です。PAAとPVPは、ひもの様な長~い分子同士ですので、引き合うことによって立体的に編み目を構築します。本止血材の場合、これらの分子は、網目を構築するときに、水を吸った柔らかいゲルを形成します。ちょうど、ゼラチンの熱水溶液が冷えると分子同士で引き合い、ゼリーになるのと同じです。

  •  Q.PAAとPVPのゲルは、再びバラバラになるのですか?

A.はい。化学結合しているわけではありませんから、簡単にバラバラになって、もとのPAA、PVPに戻ります。ゼリーを暖めると、再びゼラチンのどろどろの溶液になるのと同じです。

  •  Q.どうすると再びバラバラになりますか?

A.PAAとPVPは、真水の中だと、PAAが弱酸性の状態を作り出して、引き合ってゲルを作ります。これを生体内などに入れて無理やり中性にしてやると(生体内はpH 7.4 です)、引き合わなくなり、もとのPAAとPVPになり、どちらも水の中に溶け出します。

  •  Q.溶け出してしまっても止血効果があるのですか?

A.はい。血液は元々固まるようにできています。ただ、出血が激しいと、固まる前にどんどん新たに血液が出てきて流されてしまうため、血栓(カサブタ)を作ることができず、血が止まらないのです。本止血材は、血や体液を吸ってできたゼリーのようなゲルが出血部分に粘着し、出血創を塞ぎます。あふれ出なくなった血液はその場で血栓を形成します。張り付いたゲルは、口腔内で使用した場合には唾液によってゆっくり溶け出しますが、そのころにはしっかりと血が固まって、出血は止まっているのです。

  •  Q.どうして血が止まるのですか?何か身体に悪い影響はありませんか?

A.上の質問でもお答えしましたように、「血が流出するのを塞ぐ」のが、本止血材が出血を止めるメカニズムの本質です。また、ゲルを形成する際、血液中の水分を吸い、血液が少し濃くなることで、血が固まるのを助けます。特に血液に影響を及ぼす生理活性物質を含むわけではありませんので、全く悪い影響はありません。

  •  Q.溶け出したものは飲んでも大丈夫なのですか?

A.はい。本止血材は、全ての成分が安全な物質のみからなり、飲んでも問題ありません。全て、錠剤や、お菓子などに長年にわたって添加されて使用されてきたものばかりです。

  •  Q.止血後はどうなるのですか?

A.体表に貼ったものは、ゲルが数分~数十分で乾いて、簡単に剥がせるようになります。剥がした跡には、目に見えないほどの小さなカサブタが残るだけです。 また、口腔内で使用した場合は、数分~数十分後にはうがいをして、余分なものをゆすぎ除いて頂いて結構です。その後、残ったゲルはゆっくり溶け出します。これは飲んでしまっても全く問題ありません。

  •  Q.使用後、治癒に悪影響はありませんか?

A.臨床で多くの患者さんに試してもらっていますが、全く悪影響は観察されていません。むしろ、縫わなくてすむために、治りは早いように見られます。